こんにちは!
storageメディアチームの南です^ ^
美容室業界でも税制については屈指の知識を誇る南が、2023年10月まであと1年を切ったタイミングで、満を持してインボイス制度について皆さんにお伝えします!
今回は現時点(2022年10月)での情報なので、また変更などがあった場合は、追記などしてしっかりお知らせしますので、ご安心ください!
特に今回はこんな人に読んでもらいたいです!
・業務委託やフリーランスで働く美容師さんやビューティシャンの方
・業務委託やフリーランスで働こうと考えている美容師さんやビューティシャンの方
・美容室や美容所の経営者
・美容室や美容所の経営者を支える仕事をしている人
目次
1.消費税について騙されているな!美容師!!
免税事業者は消費税の納税を免除されています。そのため、多くの美容師は「会社に対して消費税を請求できないのでは?」と考えている人も多くいます。しかし、免税事業者であっても、消費税を請求することができるので、しっかり請求しましょう!
逆に請求しなくても良いのですが、大きく損することになります!
というのも、皆さんは消費税を支払いますよね?
であれば、免税事業者も消費税を上乗せして請求しなければ、仕入れ時に払った消費税を自己負担しなければならないことになります。
基本的な消費税の仕組みは、売上に対して預かった消費税から支払った費用の消費税を引いた額を国に治める制度です。預かった消費税から支払った分を引くのです。
払い損はもったいなさ過ぎです!
ということで、もし消費税を支払ってくれない美容室で働いている場合は、即座に辞めることをおススメします!例えば、いままで税抜きで報酬額が50万円だとすると、55万円もらえることになります。
この5万円ってかなり大きいですよね!もちろん20万円でも2万円です!自炊であれば1か月の食費代になったりするので、チリツモでかなりの痛手になります!
2.そもそも免税事業者や課税事業者って何?
免税事業者:消費税の納税義務が免除されている事業者のこと
課税事業者:納税義務がある事業者のこと
ちなみに、納税額は確定申告により、売上や費用を計算した後に正確な金額が分かるため、その後に納付することになります! 支払いが多い場合は、支払った消費税が多いため、還付を受けることができます。返ってくる、ということです!
消費税を払わなくても良い、という話だけでは、みんな免税事業者になるでしょう! しかし、そうは問屋が卸しません(笑)免税事業者であり続けるためには、条件があります。
その条件は以下の2つです!
1.(企業の場合、資本金が1000万円未満で)事業年度の課税売上が1,000万円以下か?
2.(企業の場合、資本金が1000万円未満で)事業年度の課税売上が1,000万円を超えるが、給与等支払額(給与、賞与等の支払額)が1,000万円以下か?
つまり、開業したばかりの個人や設立初年度の法人は、売上がないため自動的に免税事業者となります。初年度に1000万円を超えると、翌年に課税事業者になり、翌々年に支払うことになります。
3.インボイス制度って何?
売り手が買い手に対して、消費税や適用税率を正しく伝える制度です。正式名称を「適格請求書等保存方式」、インボイスを適格請求書と言います。
インボイス(適格請求書)制度は、消費税率が10%に改正された令和元年10月1日から義務付けられている「区分記載請求書」に「インボイス制度の登録番号」と「適用税率」、「消費税等の額」を追記された請求書のことです。
このインボイスを保存することで、買い手はその消費税分を仕入税額控除(支払った消費税を差し引くこと)ができます。ということは、請求書がインボイスでない場合、買い手はその消費税分を控除できないことになります!!
結構、インボイス制度って業務委託やフリーランスの美容師やビューティシャン、彼らを雇う美容室や美容所にとって大きな変化ですよね。。。
要は美容室にとって、雇う美容師が免税事業者の場合、支払った消費税を控除することができず、さらに多く消費税を支払う義務が生じるからです!本当にひどい制度ですよね、、、消費税も3%から段階的に10%に上がっており、さらに多く支払う可能性の高い制度って、、、
日本で事業をする気がなくなってきますよね、、、
ちなみに、インボイスは「適格請求書発行事業者」でなければ発行できません。この「適格請求書発行事業者」になるための方法は、後述していますので、参考にしてください!!
4.インボイス制度の段階的な変化
2023年10月から始まるインボイス制度が始まりますが、導入されたらすぐに免税事業者への仕入税額控除がすべて受けられなくなってしまうのかというと、そういう訳ではありません!!
実は経過措置が存在します!
いままで
・2023年9月30日まで 控除割合100%
開始後
・2023年10月1日から2026年9月30日まで 控除割合80%
・2026年10月1日から2029年9月30日まで 控除割合50%
・2029年10月1日から 控除割合0%
この控除割合は、免税事業者に対して支払った消費税額のうち、どの程度控除しても良いかが決められています。
本体価格10000円であれば、消費税は1000円で、控除割合が80%の場合は消費税1000円のうちの80%で800円は消費税として支払ったとして良いということになります。
この辺り、確定申告のオンラインサービスなども結構大きな仕様の変更が求められそうですね(笑)
5.業務委託やフリーランスの美容師、ビューティシャンへの影響は?
免税事業者の場合
原則収入は変わりません。ただし、業務委託系の美容室から「適格請求書を提出できないなら、消費税分は報酬から差し引いた額で請求書を発行してほしい。」と言われ、応じた場合、業務委託美容師は消費税分収入が減ることになります。
その場合、売上600万円(税抜)、費用400万円(税抜き)として、
売上600万円-費用440万円=所得160万円
経過措置があるので、2026年9月30日までは80%は控除できるので、美容室が飲む場合も大いにあると考えられますが、控除割合が50%などになると消費税を余分に払う額もバカにならないので、消費税を請求しないで欲しいというお願いも強くなるかもしれません。
課税事業者の場合
原則収入が下がる計算になります。ただし、消費税の仕入税額控除があるため、売上は10%下がりますが、残せるお金は10%より小さくなります。
売上600万円(税抜)、費用400万円(税抜き)の場合、
現在の免税事業者の場合だと、
売上660万円-費用440万円=所得220万円
課税事業者になった場合、
売上600万円-費用400万円=所得200万円
(消費税は60万円-40万円=20万円の納付)
となり、実質20万円の消費税の納付義務があり、売上対比で3.3%の減少となります。ですので、10%はないにしても、自由に使えるお金が3-4%程度は減ることを想定していると良いでしょう。
まとめ
免税事業者を選ぶかどうかは働く美容室によって変えるべきです。免税を許可してくれる美容室で働いている場合は、しっかりメリットを享受できますが、消費税を請求しないよりは課税事業者となった方がメリットも大きくなるので、おとなしく飲むか、免税を許可してくれる美容室を探すことになるでしょう!
6.美容師やビューティシャンが課税事業者になる方法
適格請求書発行事業者への登録申請は既に受付けています! 2023(令和5)年10月1日から登録を受けるためには、原則として2023(令和5)年3月31日までに登録申請書を提出する必要があるので、ご注意ください!!
登録申請書は以下の3つで提出可能です!
① 所轄の税務署へ持参
② 所轄の税務署へ郵送
③ e-Taxを利用した電子提出
そこまで難しくないので、ご自身で書いて提出しても良いですし、わからなければ税理士に聞いてみると良いでしょう!!
7.業務委託やフリーランスの美容師、ビューティシャンを雇う企業への影響は?
雇う美容師やビューティシャンが免税事業者の場合
売上5000万円(税抜き)、業務委託報酬43%=2150万円(税抜き)の場合、
・ビューティシャンに消費税の請求をしない了承を得られた場合、
売上5000万円-業務委託報酬2150
=残り2850万円
・インボイス制度(控除割合0%)
売上5000万円-業務委託報酬2150-消費税余分支払い額215万円
=残り2635万円
※215万円=売上対比4.3%を余分に納付することになる
・インボイス制度(控除割合80%)
売上5000万円-業務委託報酬2150-消費税余分支払い額43万円
=残り2807万円
※215万円まではいかないが43万円=売上対比0.9%を余分に納付することになる
雇う美容師やビューティシャンが課税事業者の場合
いままで通りで特に問題ありません!
まとめ
免税事業者を雇うということは消費税分を請求しないように依頼しない限り、利益は消費税の乗除割合に応じて徐々に減っていくことになります。ただ、離職リスクを考えると、美容室としてはより収益性を高めて、免税事業者を雇い続ける選択肢もあり得るはずです!
8.よくある質問
1.なぜインボイス制度が始まったのか?
導入目的は、取引の正しい消費税額と消費税率を把握することです。令和元年10月より消費税の軽減税率が導入され、仕入税額の中に8%と10%が混在するようになりました。正しい消費税の納税額を算出するために、商品ごとの価格と税率を正しく記載する必要が出てきました。
というのも、仕入れた品の税率8%のものを10%で計上すれば、2%は不当利益とすることができ、それを防ぐためにも政府が導入したことになります。
2.美容室業界全体としてどんな動きになりそうですか?
あくまで、執筆している南個人の見解ですが、少なくとも控除割合が80%の2026年10月までは、美容師に対して課税事業者登録を促しつつも、無理にはさせない方向になりそうです。というのも、支払い額よりもスタッフの退職の方が、デメリットが大きいからです。
そのため、美容室サイドは昨今のコロナや円安に関連する値上げによって、消費税の支払増額分を吸収しようと目論むと考えられます。
ただし、2029年10月以降は課税事業者になるか、消費税を請求しないかを強く依頼する美容室が増えることでしょう!
結構、余分に国に納める消費税の支払い額が大きくなりますからね。。。
ということで、今回はインボイス制度について記載しました! storageでも税理士や専門家と検討チームを組み、業界の動向を幅広く集めて、鋭意検討中です。
ですので、働くスタッフや求職者さんは安心してください!
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