「美容師のスキルを活かして、海外で働いてみたい」と考えているものの、海外で働くために必要なことや事前の準備がわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、美容師として海外で働くために知っておくべき知識や、海外美容師のメリット、デメリットなどを詳しく解説しています。海外で働く美容師の年収や海外での美容師求人の探し方なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
美容師として海外で働くために必要なこと
ヘアカットやヘアスタイリングのニーズは、日本に限らず世界各国にあります。そのため、美容師という職業も、さまざまな国で定番の職業になっています。また、カットやカラー、パーマ、スタイリングといった美容師の主な仕事内容は、日本と海外を比較しても、基本的には大きく変わることはありません。
しかし、海外で美容師として働くためには、次のような知識や準備が必要です。
- 現地で求められる資格の取得
- 美容師としての実務経験
- 語学力
- 就労ビザの取得
1つずつ、詳しく見ていきましょう。
現地で求められる資格の取得
日本で美容師として働くためには「美容師免許」というライセンスが必須です。しかし、海外で美容師として働くためには、現地で求められる資格を取得する必要があります。
アメリカの場合
例えば、アメリカで美容師として働くためには「コスメトロジーライセンス(Cosmetology License)」と呼ばれる日本の美容師免許のような資格の取得が必須です。コスメトロジーライセンスは、美容師としてヘアカットやスタイリング、カラーリング、スキンケア、ネイルケアなどのサービスを提供するために必要な資格です。
コスメトロジーライセンスを取得するためには、アメリカの各州が認定する美容学校に通い、州ごとに定められた指定の時間の実習が求められます。さらに、美容学校を卒業した後は、各州が実施するコスメトロジー試験に合格する必要があります。
ヨーロッパの場合
ヨーロッパでは、国によっては日本やアメリカのような美容師資格がなくても、美容師として働くことが可能です。ただし、多くのサロンでは、実務経験や美容学校でのスキル習得、各種ディプロマの取得などが採用基準となっています。
例えば、イギリスでは「NVQ(National Vocational Qualification)」と呼ばれる職業訓練資格があり、美容師としては「NVQ Level 2 in Hairdressing」や「NVQ Level 3 in Hairdressing」などの取得が推奨されています。
アジアの場合
日本からも距離が近いアジア諸国では、国によって美容師の資格制度が大きく異なります。
韓国では日本と同じく、韓国の美容師免許の取得が必須になります。美容師免許を取得するためには、美容関連の専門学校などに1年以上通って指定された過程を履修するか、美容師資格試験へ合格しなければなりません。
一方、中国では、美容師免許のような資格がなくても美容師として働くことが可能です。ただし、国が定めた美容師の職業資格証書があり、これを取得しておくと技術の証明となるため、美容師としての仕事が有利になるでしょう。また、美容師としてサロンを開業する際は、商業資格証書が必要です。
また、シンガポールでは、美容師免許のような資格は必要なく、誰でもサロンを開業することができます。
南米の場合
ブラジルでは日本と同じく、美容師免許の取得が必須ですが、資格取得の方法や条件は州ごとに異なります。
海外で美容師として働きたい方は、まずは希望する国の美容師資格について、リサーチしてくことが重要です。
美容師としての実務経験
海外で美容師として働く場合でも、日本での実務経験があるほうが有利です。日本の美容師の技術力は、海外でも高く評価されています。日本で培った技術や知識を持ち込み、現地のニーズに合わせたサービスを提供することで、競争力を高めることができます。
また、海外のサロンで面接を受ける場合も、日本での実務経験が問われるのが一般的です。まずは日本で経験を積み、美容師としてのスキル向上を目指すのが近道といえるでしょう。
語学力
美容師はお客様とのコミュニケーションが欠かせない職業です。
海外で美容師として成功するためには、適切なコミュニケーションが取れるレベルの語学力が求められます。日常会話に加えて、お客様の希望するヘアスタイルの細かなニュアンスまで理解できるレベルの語学力があると安心です。
とはいえ、語学力がネックになって、なかなか海外での就労に踏み出せない人も多いでしょう。語学力に自信がない場合は、海外の日本人向け美容室で働きながら、同時に語学習得を目指す方法もあります。
就労ビザの取得
実際に海外で働く場合は、目的が観光や短期滞在とは異なるため、就労ビザの取得が必要です。
就労ビザとは、外国人が特定の国で合法的に働くために必要な許可証です。就労ビザを取得することにより、申請者は特定の職業で一定期間、働くことが認められます。就労ビザの種類や申請手続き、取得条件は、各国の法律や規定によって異なります。
海外で働く美容師の平均年収は?
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、日本の理容・美容師の平均年収は、男性は368万3,600円、女性は312万8,700円、月収にすると約26万円〜30万円です。一方、海外で働く美容師の年収は、国や地域、働き方によって大きく異なります。
例えば、アジア圏では日本円で30万円以上、条件によっては月収100万円前後の美容師の募集もあります。また、アメリカやヨーロッパでは、日本円で月収40万円〜50万円以上といったケースも見られます。
海外で美容師として働く場合、日本のような固定給制度のほかに、フルコミッション制(完全歩合)のサロンも多く、年収は個人のスキルや固定客の有無によって大きく変動します。さらに、アメリカでは、美容院でもチップを渡すのが一般的で、チップの相場は総額の15%〜20%前後です。
そのため、働く国や地域、働き方によっては、日本で美容師として働くよりも高い年収を目指すこともできるでしょう。
海外で美容師として働くメリット
海外の美容師は、日本の美容師と比較して勤務時間が短く、ライフワークバランスを整えやすいといえます。加えて働き方次第では、日本の美容師よりも高い年収を目指すこともできます。
また、毛髪は人種によって太さや硬さ、クセの有無などが異なります。海外で美容師として働くことで、さまざまな毛質に対応できる技術力が身に付きます。さらに、日本とは異なる価値観を学ぶことができ、美容師としての視野も大きく広がるでしょう。
海外で美容として働くデメリット
現地の日本人向けサロン以外で働く場合は、お客様と自然なコミュニケーションがとれるレベルの語学力が必須となります。また、日本よりも高い年収を得られる可能性がある一方で、物価が高い地域もあるため、事前に各国の経済事情を確認しておくことが大切です。
さらに、海外で美容師として働く場合、日本の社会保険(年金や健康保険など)の中で、加入できなくなる制度もあります。こうした社会保険に加入していないと、万が一の際に、補償が受けられなかったり多額の費用が発生したりするリスクもあります。
日本では、基本的に怪我や病気で病院にかかった際は、健康保険制度によって医療費の自己負担額は3割に軽減されます。しかし、アメリカなどでは、医療費が非常に高額であるため、万が一の場合に備え、渡航する国の状況に応じた保険に加入しておく必要があるでしょう。
海外での美容師求人を探す方法
「海外で美容師として働きたいけれど、どのようにして求人を探せばいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
現代ではインターネットを活用することで、世界中の美容師求人情報にアクセスすることができます。しかし、海外での就労経験のない方が、いきなり海外の情報サイトを見てしまうと「よくわからない」と戸惑ってしまうかもしれません。
そこでここでは、初めて海外で働く方でも挑戦しやすい美容師求人を探す方法を3つ紹介します。
海外求人を扱うサイトで探す
まずは、海外求人を扱うサイトで希望する国での募集がないかを探してみましょう。日本の企業が運営している求人サイトなら「海外での業務経験がない」「英語に自信がない」という方でも応募しやすい求人情報を取り扱っています。
給与についても、日本円で書かれているのが一般的なので、手取り額をイメージしやすく安心して応募できるでしょう。
ワーキングホリデー制度を活用する
あなたが、18歳〜30歳であれば「ワーキングホリデー制度」を活用することも可能です。
ワーキングホリデー制度とは、18歳〜30歳を対象に、日本と協定を結んでいる国で最長1年間、相手国の文化を学び交流をすることを目的とした制度です。滞在中は、資金を補うために、就労ビザを取得しなくても美容師としてサロンでアルバイトをすることが可能です。
長期的な就労はできないものの、海外美容師として働くための第一歩としてチャレンジしやすい方法といえます。
海外支店のあるサロンで働く
海外に支店のある日本のサロンであれば、希望をすれば海外勤務が実現する可能性もあります。また、美容室を運営する企業の社員やスタッフとして海外で勤務する場合、現地でのビザの取得などをサポートしてもらえます。
海外で美容師として働きたい夢があるものの、1人で挑戦するのが不安な方は、まずは海外支店のあるサロンのリクルートページを確認してみるのがおすすめです。
株式会社storageの運営するヘアサロン「NUMBER(ナンバー)」は、国内32拠点に加えて、ロサンゼルスにもサロンを展開しています。
N° 147 ロサンゼルス【ナンバー】
インバウンドサロンで働くという選択肢も!
「海外での生活に不安がある」「まだまだ語学は勉強中」という方は、日本にいながら海外美容師のような働き方ができる「インバウンドサロン」という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
インバウンドサロンとは、訪日外国人観光客向けの美容室です。新型コロナウイルスの影響で低迷していたインバウンド需要ですが、2023年以降はコロナ禍以前と同等の水準まで回復しており、今後も伸びが期待できます。
インバウンドサロンのお客様は、ほとんどが外国人のため、外国語で接客しながら、さまざまな人種の施術を担当することができます。日本で働きながら、海外美容師としての働き方をより具体的にイメージできるため、将来的に海外で美容師として働きたい方にもおすすめです。
まとめ
海外で美容師として働くことには、日本では得られない多くの魅力があります。しかし、海外での夢を実現するためには、現地で求められる資格の取得や、日本での実務経験、語学力の向上、そして就労ビザの取得といったステップを踏むことが欠かせません。
また、海外で美容師として働く場合、年収やライフワークバランス、技術の向上といったメリットがある一方、語学力や異文化理解の必要性、社会保険の問題などのデメリットもあります。これらを総合的に考慮し、自分に合った働き方やキャリアプランを見つけることが大切です。
海外での美容師求人を探すためには、海外求人サイトの利用、ワーキングホリデー制度の活用、海外支店のあるサロンでの勤務といった方法があります。また、日本にいながら、海外美容師としての仕事を具体的にイメージしたい方には、訪日外国人観光客向けの「インバウンドサロン」といった選択肢があります。これらの方法を活用し、計画的に準備を進めることが大切です。
ぜひこの記事を参考に、海外で美容師として活躍する夢の第一歩を踏み出してみてくださいね。
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